ウサギとカメの物語 番外編
付き合うことになったキッカケは社員旅行で温泉に行った時に、まぁ色々あって勢いで告白したのが始まりだった。
ひとたび愛を伝えれば、あとはもうお互いに隠すこともなく。
「好きだ」と伝えたい時に伝え、抱きしめたい時に抱きしめる。
彼女もそれにいつだって応えてくれる。
なによりの、俺の幸せだった。
3年かかったけど、ちっとも無駄なんかじゃなかったって思えるほど、奈々は大事な大事な、大切な人だ。
俺が安心して本音を言えて、寄りかかれる唯一の人………………。
「甘い」
「何が?」
「奈々の唇」
「そりゃあ、アイス食べたあとだからね」
風呂上がりに2人でアイスを食べるのが日課。
今日は給料日だったから奮発して、ちょっと高めのアイスを購入して帰ってきた。
それを食べたあと無性に彼女にキスしたくなって、ソファーに押し倒して何度も唇を重ねた。
ペロッと彼女の唇を舐めたら、キャラメルの味がした。
俺を見上げる奈々の目は色っぽく、今しがたのキスで息も上がっている。
口角を上げて笑っているところを見ると、嫌がっていない。
「このまま抱いてもいい?」
そう言うと、彼女は照れたようにはにかみ、小さくうなずいた。
あぁ、可愛い。
本当に本当に可愛くて愛しい。
で、ますます加速する彼女への愛。