生きる。~番外編~



「ただいまー!」


晴輝のバイクの音が遠くなった頃

玄関から由茉の声が聞こえた。


………俺食器洗ってるけど

勝手に入ってくるよな?


「一輝~!」


あ、やっぱり来た。


「おかえり。」


「ただいま。

何してんの?」


「後片付け。

由茉、ジャムとかは?」


「あ、片桐さんに持ってきてもらうの。

私は先に玄関とかリビングのドア

開けとこうかと思って。」


「そんなにあんの?」


「そんなにあるんだよー。

慎一さんの買い物はいったいどんなんなのか…」


いかにもセレブについていけない

って顔してんな。


「今日由茉部屋の荷物持ってく?」


「あ、うん!

片桐さん来たら少し持ってく。


あ、そうだ。

4月2日大学の入学式なの。

一輝これる?」


「俺?」


「入学式って普通保護者来ないの?

大学生なら来ないもん?」


あ、そうか。

由茉って入学式出たことないんだ。


「いや、じゃあ俺も行くよ。」


「よかった。

ちゃんと保護者席もあるしね!」


初めての入学式か。

卒業式は行けなかったから

次はちゃんといこう。

有給申請しとかねーと。


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