生きる。~番外編~
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「ただいまー…」
「あれ、早いな。
純と遊び行ったんじゃなかったのか?」
「んー、フラれちゃった。」
マンションへ戻ると、湊はすでに帰宅していてテレビを見ていたから、私もソファへ座った。
「どういう意味?」
「なんかね、重いんだって。」
「は?」
意味不明、というような目をされたので、今日のことを最初から全部湊に話した。
「ふーん、なるほどな。」
「私さ、みんなのこと平等に見てきたつもりだったんだけど、そういえば純との時間って少なかったなって思って。
純は一番に私を受け入れてくれたのに、純のこと全然わかってなかった。」
「まぁ純は確かに弱いからなー。」
「そんな感じはしないんだけど」
「俺らの代はずば抜けてたんだよな。
俺も哉斗も爽も人の心とか表情とか読めるだろ?
颯も人のちょっとした変化にすぐ気づいて、察しもいい。
だけど純はそういうのに全部疎くて、真っ直ぐすぎるからぶつかって、ぼろ負けする。
人間的には一番できたやつなのに、卑怯な世界だと弱い。
だから余計にいらいらするんだろうな。」
「私みたいなの、純にとってはめんどくさい存在なのかな……」
「まぁ八つ当たりみたいなところもあるんじゃねーの?
純ってさ、俺らだけじゃなくて和真とか大翔より弱いんだよ。
雄と秀よりも。
だから余計にってのもあるんじゃねーの?」
「でも強さってそれだけじゃないじゃん。」
「だから、純はわかってねーんだよ。
族やってるやつなんてな、純みたいにお気楽人生のやつもいるけど、哉斗とかみたいに複雑な思い抱えてるやつも多いんだよ。
哉斗とかはちゃんと乗り越えてきたけど、純にはそれがないから、大事なことに気づけてないんだよ、あいつは。」
「大事なこと、か……」
「今回はあいつの甘えだと思え。
何を言っても由茉なら見放さない、そう思ってんだよ多分。
弱いなりの意地と足掻き。
だから由茉もあんま気にすんなよ。」
「………うん、わかった。」