生きる。~番外編~


そんなことを考えながら橘くんを見ていると

「みーなと。」


橘くんを呼ぶ女の子の声が聞こえた。


その女の子を見た瞬間、橘くんの頬が緩んだ。

女の子の左薬指には輝くダイヤの指輪。

あの子が婚約者か、とすぐにわかった。


……………かわいい。


何を話しているのか聞こえないけど

彼女といるときの橘くんは優しい表情をして

しかも時たま笑顔を見せる。


……………彼女のこと、本当に好きなんだなぁ…。


しばらくして橘くんが行ってしまった。


「美夏、ほんとにいいの?

今追いかけないともう会えないかもよ?

気持ちだけでも伝えてきなよ。」


「栞奈……あとで慰めてね!」


私は橘くんを追って走った。


「橘くん!」


私の声に橘くんと彼女さんと……

知らないお兄さんが立ち止まった。



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