Focus
「そうなんだ、っていうか、結構しゃべるってくれるんだね」
「さっきから驚いてばっかり……私のこと一体どんな人だと思ってたの」
んー、と人差し指口元に当てて考え込む奏太くん。
「人間嫌い、って感じ?」
あ、ちょっと傷ついたかも。
「やっぱりそう見えるよね」
「彩葉?」
「なんでもない、授業始まるから教室帰るね」
「ちょっと彩葉!?」
奏太くんが呼び止める声がしたけど、もう知らない。
「奏太くんも早く戻らないと授業始まっちゃうよ」
それだけ伝えると、私は中庭を後にした。