Focus
驚いたようにこちらを振り向いた奏太くんの手には、カメラが握られていた。
それも、私が持ってるようなデジカメとは違って、ちゃんとした、立派な一眼レフ。
「それ、奏太くんの?」
「そう! 入学祝いで買ってもらったんだ」
「そうなんだー、かっこいいね」
「ありがとう」
「「……」」
会話が続かない。
元々私は人と話すのが得意ではないし、奏太くんとはこないだ気まずい雰囲気で終わっちゃったから、何かうまく話せない。