Focus
「奏太くんってさ、何組なの?」
「何組だと思う?」
「合同体育の時探したけど、いなかったから1組か2組か3組でしょー?」
私たちの学校は、合同体育が1組~3組、4組~6組までの3クラスずつで行われる。
「あ、俺のこと探してくれたんだ? 嬉しいなー」
にやっと笑って私の顔を覗き込む奏太くん。
「……!ちがっ……!」
「えー、違うの?」
「ちがっ……くはない」
はは、っと奏太くんは笑った。
「ていうかね、そういう言い方するのやめて!私本当に人と関わってきてないから、勘違いするよ!?」
私は照れて赤くなった顔を背けるように、そっぽを向きながらそう言った。
「勘違いするって、どういうことを?」
なおもにやにやしながら重ねて聞いてくる奏太くん。
「私が探したって言うことを聞いて、奏太くんが嬉しく思うっていうのが、本気だと思っちゃうってこと! 奏太君は冗談で言っても、私はそういう風に受け取れないの」