恋じゃないと願うだけ

思惑

― 勇樹side ―





「西田さんって彼氏いるのかな?

エリナちゃんなら知ってると思って…」




放課後、いつものように拓と並んで帰宅中、


校門にさしかかった所で一人の男とエリナの姿が視界に入ってきた。



へぇー。

やっぱり結香ちゃんってモテるんだな…




チラッと拓のほうに視線をかえる。


いつものように無表情で何を考えているのか分からないけれど、じっと見つめるその視線の先にはエリナ達がいる。




「あー、結香かぁ…

今は居ないんじゃないかな…

でも、結香は止めたほうがいいよ」



ぶっきらぼうに答えるエリナ。



「えっ…」




「結香、あぁ見えて浮気症だし。

男好きだから。


友達としては良いんだけどねぇ…」




「マジで…

そうなんだぁ…なんかショックだな

知らせてくれてありがとう‼」



落ち込んだ様子でその場を後にする男。




はっ?

それお前の事だろエリナさん。



っていうか…

もしかしたら


結香ちゃんが彼氏と別れた原因もエリナが絡んでいるのかもしれない。



そんな風に思いながら見た拓の様子も

何かに感ずいたように表情が少し険しくなっていた。





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