恋じゃないと願うだけ
そこまで話すと三浦君はベンチから立ち上がり自販機へ向かった。
「はい」
「ありがと…」
手のひらで握る冷たいジュースが一気に場の空気を変えた。
大きく深呼吸をした彼を見て、ピリッとした状況に背筋が伸びた。
「あいつ昔からモテるじゃん…」
小さく頷きながらその後の話しを聞くのがこわく緊張していた。
「あいつなりに結香ちゃんの事は本当に好きだったと思う。
でも、あいつの中で中学って狭い世界だったんだろうな…
結香ちゃんは知らないと思うけど、
付き合ってる間も色々な女子に告白されてたんだよ」
それはなんとなく気付いていた。
武瑠があたしに言わなかったのも
心配かけたくないという優しさからだと思っていた。