恋じゃないと願うだけ






「今回もよろしくね

まぁがんばりますか」




「うん。よろしくね

やりますか」




放課後、

またもや学級委員になってしまったあたしと勇樹君は、しょうがないね。なんて言いながらクリーン運動の準備をしていた。




掃除ロッカーを開け雑巾を掴む。

そんなあたしの視線は廊下に向けられていた。




もし拓君が学級委員ならば、きっとこの廊下を通るだろう。


ドキドキする心臓と同時に緊張が走る。





「おっ、拓!」




バケツを持ってあたし達の教室の前を通り過ぎようとしている拓君に、勇樹君は声をかけた。


見慣れた風景。


やっぱりあたしの予想はズバリ的中で、拓君も学級委員に選ばれた。





「おう…」



一瞬だけあたしを見た気がしたが、
その足が止まる事はなく長い廊下を真っ直ぐ歩いて行ってしまった。






いつもなら教室の前で立ち止まり、あたし達を待ってくれてたのに。



そんな素振りも見せずに行ってしまった。




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