恋じゃないと願うだけ
思わず勇樹君に視線を向けるが、
勇樹君は少し落ち込んだ表情をしながらも、拓君を追いかける事はしなかった。
「行くか!」
「う、うん…」
空元気に見える勇樹君を見て不思議に思いながらも、追求はしなかった。
今回だけじゃない。
最近はよくこんな拓君と勇樹君の姿を見掛けるようになった。
きっかけはよく分からないが、仲の良い二人の間に溝が出来たような…
拓君が少し勇樹君を避けているような気がしていたが、
勇樹君もそれに対して理解しているかのように受け止めていて…
見ているこっちは不思議でしょうがなかった。
ただ、二人の間に何かあったのは確かだと思った。