恋じゃないと願うだけ
あの日、拓君が言いかけたあの言葉が頭から離れない。
「俺…
本当はお前が…」
拓君は一体なんて言おうとしたんだろう。
そんな考えが頭の中を駆け巡る。
初めて見た彼の真剣な表情…
思い出しただけで熱くなる心。
でも、あれから変わった様子もなく…
冷たい彼の視線はあたしのドキドキを狂わせた。
いたたまれない感情に胸が押し潰されそうだった。
「…って感じで良いかな?」
「オッケー」
「良いんじゃないかな?
ねっ、結香?」
「あっ、うん…」
全く頭に入ってこなかった…
せっかく楽しみにしてたのに…
「ちょっと―
勇樹までボーっとしちゃって
二人とも怪しいなぁ」
勘の鋭いエリナが何かを察知したようにあたしと勇樹君の顔を交互に見る。