恋じゃないと願うだけ






「今日はごめんね…

本当にありがとう…」




夜、ホテルの部屋で一列に並んだベットの真ん中で仰向けになるあたし。


右のベットからひょこっと顔出す志穂に話しかける。







「でも良かったね

拓君とまた話せるようになったんでしょ?」






「うん…」






ホテルに戻ってからは

ご飯の時も
部屋に戻るまでの時間も



相変わらず無表情で何を考えてるか分からない拓君だったけれど、


なんだか優しくて、


時より見せる笑顔も誰かのためだけじゃなく、あたしにも見せてくれた。






そんな小さな変化でも、あたしは凄く嬉しくて




少し前までの辛かった日々も



嘘のような時間だった。





「もしかしたらさ、

拓君も結香の事好きなんじゃないかな?


ね、エリナ?」








あたしの左隣で背中を向けるように布団にくるまっているエリナ。








「……」







エリナからの反応はない。









「エリナ寝ちゃったんだね

あたしは拓君が結香の事好きなんじゃないかと思うけどね♪」





自分の事のように嬉しそうな志穂。











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