恋じゃないと願うだけ
「そんな事ないよ
だって…」
だって…
昨日までの拓君はあたしを避けるように冷たくて。
話しかけてもそっけなくて…
いつも笑顔なのはエリナの前だけで…
そう。
拓君が好きなのは…エリナなのだから。
あたしの心はキュッと締め付けられるような傷みに襲われた。
ピンチの時、いつも側にいてくれる拓君。
だけどそれは彼本来の優しさであって、
勘違いなんてしちゃいけない。
それだけは強く思っていた。
「あたしは応援してるからね」
「ハハッ
ありがと…」
叶わない恋。
分かってはいるけれど、止まらない気持ち。
そんなあたしを優しく見守ってくれるような志穂の言葉に涙が出そうになった。