恋じゃないと願うだけ
エリナとはぐれ迷子になって泣いたり
正義の味方のように現れた拓君にドキドキしたり
色々な事が詰まった修学旅行も終わり、またいつもの生活が始まった。
でも、あたしには嬉しい変化があった。
相変わらず無表情な拓君だけれど、
あたしを見かけると声をかけてくれたり、笑ったりしてくれるようになった。
いつもなら退屈な学校生活も、あたしには特別で楽しくて夢のような時間になった。
「あっ、拓君…」
教室移動の時にもあたしは彼を無意識に探してしまう。
拓君のクラスの前を通りすぎようとした時、
あたしの視線に気付いたのか
優しく微笑んでくれる拓君。
そんな状況に慣れる事もなく、
あたしの心は彼を見るたびドキドキと弾む。
こんな生活がずっと続けばいいな。
そんな風に拓君へのあたしの思いは強くなっていった。
ただ、見てるだけでいい。
あなたの笑顔がずっと続きますように…
と願っていた。