恋じゃないと願うだけ
放課後、
「あれ…
エリナと…拓君だよね…」
ふわふわと浮かれ足だったあたしが
一瞬で地の底に落とされたような…
衝撃的な事が起こった。
「……」
志穂の声もあたしの耳には届かなく
ただその場に立ち尽くした。
下駄箱に向かう途中、廊下の角のほうで女の子の泣く声が聞こえた。
なんだか気になり様子を見に覗いてみると、
そこには泣くエリナ、
と
拓君が居た。
エリナは拓君の胸元に顔を埋め
拓君はそんなエリナを包み込むように抱えそっとエリナの頭を撫でていた。
「拓…どうして」
すすり泣くエリナの声は今まで聞いた事がないくらい震えていた。
何この状況…
なんだか見てはいけないものを見ている気がした。
「志穂行こう…」
ヅキヅキと痛む胸に手をあてながら、
溢れそうになる涙を必死で抑えその場を後にした。