恋じゃないと願うだけ
無心
世間での夕方の時間もあたしには闇一色だった。
光なんてこれっぽっちもない。
あたしだけの暗い闇。
信君から聞いた事を頭の中で少しずつ整理した。
中学の時から武瑠の浮気は始まっていた。
ただ狭い世界の中で、もがくように。
高校に入ってから武瑠の中の景色は広がっていった。
監視される事のない世界で、
新たな環境から生まれる女子達の黄色い声。
相変わらずモテる武瑠はそれを満喫していた。
二股、三股…
誰々と付き合っている。
誰々とキスをした。
誰々とやった…。
噂が絶えない状況に
信君も怒りと悲しみが入り交じった複雑な心境だったに違いない。