恋じゃないと願うだけ
「プッ…
なら良かった」
なんだか慣れない緊張に顔の前でブンブンと手を振るあたしを見て旬君が笑う。
子犬みたいなまん丸お目目も笑うと少し細くなる。
そんな笑顔も優しくてカッコ良かった。
「あのさ、武瑠の事最悪な元彼だったってエリナちゃんが言ってたけど…
どんな事があったの?
あっ、話すの嫌だったらムリしなくていいよ」
ヅキッ
胸に痛みが走ると同時に封印していた記憶が次々とよみがえってきた。
そうだった。
旬君は武瑠と同じ高校だった。
「大丈夫…?
ごめん、、、辛い事思い出させちゃったみたいだね…」
あたしはどんな顔をしてたんだろうか…
今にも泣き出しそうなあたしに申し訳なさそうに何度も謝る旬君。
ふと、武瑠の親友…
だった
信君を思い出す。