恋じゃないと願うだけ
「結香ちゃん、明けましておめでとう!」
「あれ?早いねー
勇樹君、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくね!」
勇樹君とは前にお家にお邪魔して以来だった。
辺りを見回すとほんの数名の生徒。
時間に余裕を持って登校する志穂もまだ来てない。
かなり早い時間だ。
いつもギリギリに来る勇樹君。
そんな彼がもう登校している。
そんな状況にびっくり。
「俺だってたまにはね♪」
そっかそっかと感心していると、
「いや…実は結香ちゃんとちょっと話したい事あってさ」
「ん?」
「拓の事、嫌わないでほしいんだ…
あいつ、昔女と色々あってさ…
だから…なんていうか…」
「大丈夫だよ。
嫌いになってないから」
何があったの?
とかきっと聞いてほしくないだろうと思った。
だから色々って表現したんだなって。
それと同時に拓君への嫌悪感もスーっと消えていった。
何があったのかは分からないけれど、
きっと拓君もあたしと同じように傷つき、
心の居場所を見失ったんだと思った。