だて眼鏡の裏には
『お前のことなら…全部知ってる。』
さっきの言葉が、脳裏で何回も再生される。
「た、例えば?」
震える声でそう聞くと、その日向誠はすらすらと答えた。
「美海の眼鏡はだて眼鏡。林郷財閥の一人娘。父親の名前は林郷政樹。母親の名前は林郷莉子。スカートは膝下。」
私は震える。
全てがあっているんだもの。
私のお父様の名前は林郷政樹(リンゴウ マサキ)。
お母様の名前は林郷莉子(リンゴウ リコ)。
それにしても…
「日向誠。なんで私を呼び捨てにする?なんで私の眼鏡はだて眼鏡だと分かった?」
「そんなん、美海の眼鏡のフレーム見れば分かる。」
私は、眼鏡…いや、だて眼鏡を外してフレームに視線を落とす。
『datemegane』
『だてめがね』と、ローマ字でご丁寧に書かれていた。
「な!何故私を呼び捨てに!」
「あぁ、それは…」
と、日向誠。
「いや。なんでもねぇ。」
一番私が嫌いなやつだ。
「あと、俺のことは誠って呼べ!この俺様を誠と呼べるなんて、ラッキーだな。」
うわっ。超上から目線だし。
こういうのって俺様…って言うの?一番嫌いなタイプだ。