だて眼鏡の裏には


『お前のことなら…全部知ってる。』

さっきの言葉が、脳裏で何回も再生される。

「た、例えば?」

震える声でそう聞くと、その日向誠はすらすらと答えた。

「美海の眼鏡はだて眼鏡。林郷財閥の一人娘。父親の名前は林郷政樹。母親の名前は林郷莉子。スカートは膝下。」

私は震える。

全てがあっているんだもの。

私のお父様の名前は林郷政樹(リンゴウ マサキ)。


お母様の名前は林郷莉子(リンゴウ リコ)。

それにしても…

「日向誠。なんで私を呼び捨てにする?なんで私の眼鏡はだて眼鏡だと分かった?」

「そんなん、美海の眼鏡のフレーム見れば分かる。」

私は、眼鏡…いや、だて眼鏡を外してフレームに視線を落とす。

『datemegane』

『だてめがね』と、ローマ字でご丁寧に書かれていた。

「な!何故私を呼び捨てに!」

「あぁ、それは…」

と、日向誠。

「いや。なんでもねぇ。」

一番私が嫌いなやつだ。

「あと、俺のことは誠って呼べ!この俺様を誠と呼べるなんて、ラッキーだな。」

うわっ。超上から目線だし。

こういうのって俺様…って言うの?一番嫌いなタイプだ。
< 5 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop