1ページ過去編

白に包まれた日


なにも覚えていなかった。



白い壁、白いカーテン、…白い記憶。
すべてが白い日。

私は真っ白で、でもこれで良いのだという気がしていた。

辛いことがあったとしても、
楽しいことがあったとしても。


覚えていなければ、苦しくなんてない。


記憶がない、それは心許ないけど、
でも、それで良いのだという気がしている。

ふわふわと、微睡んでいるかのような気分で、あお向けにベッドに転がる。

やわらかく、あたたかい。
守られているような安心感。


たぶんこれまでで一番の、
幸せな白い日。
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