佐伯くんを好きになった場合。
「じゃあ、俺行くから」
椎名を待たせているかもしれない。
椎名のことだから、もう図書室に来ているかも知れないから。
「えー……お腹空いた」
悠哉は、そう言って床に座り込んだ。
お腹空いたって……金がないだけだろ。
俺は、スクバから財布を出して、その財布の中から二千円取り出した。
「今日はこれで我慢して。ほら、早くファミレスでも行ってこい。俺、暇じゃないから」
俺がそう言って二千円を悠哉に渡すと、悠哉はパァァッと効果音がつきそうな勢いで笑顔になって「じゃあな!」と走っていった。