佐伯くんを好きになった場合。



「じゃあ、俺行くから」



椎名を待たせているかもしれない。
椎名のことだから、もう図書室に来ているかも知れないから。



「えー……お腹空いた」



悠哉は、そう言って床に座り込んだ。



お腹空いたって……金がないだけだろ。



俺は、スクバから財布を出して、その財布の中から二千円取り出した。



「今日はこれで我慢して。ほら、早くファミレスでも行ってこい。俺、暇じゃないから」



俺がそう言って二千円を悠哉に渡すと、悠哉はパァァッと効果音がつきそうな勢いで笑顔になって「じゃあな!」と走っていった。


< 111 / 320 >

この作品をシェア

pagetop