佐伯くんを好きになった場合。



佐伯くん、遅いな……。


チラッと教室の壁につけてある時計を見ると、もう5時に針が向きそうだ。


外からは、いつも通り運動部の意気のいい声が聞こえてきて。


ガタッと椅子から立ち上がると、窓を開けて空を見上げる。



「……佐伯くん」



「ごめん、遅れた」



私が小さく佐伯くんの名前を呟くと、後ろから声が聞こえた。


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