佐伯くんを好きになった場合。
振り向かなくても、誰の声かなんてすぐに分かってしまう。
「何してんの?」
「空見ながら、佐伯くんのこと考えてたの」
私が笑顔でそう言うと、佐伯くんは呆れながらも私の隣まで歩いてきて、近くの机にもたれかかった。
「今から、どこ行きたいの?」
「えっとね、最近シュシュが欲しくて!」
「ん、わかった」
佐伯くんは私の答えにそれだけ返すと、スクバを肩に持ち直して歩き出した。
当たり前のように、私を置いて。