佐伯くんを好きになった場合。
それでも、放課後デートのことを佐伯くんが忘れてないことが嬉しくて。
メイクと髪のことについては、何も言ってくれなかったけれど、来てくれただけで、それだけでもういいから。
「佐伯くん、来てくれてありがとね」
私は、早足で教室を出て、佐伯くんの隣に並んでそう言った。
佐伯くんは、そんな私の方を見向きもせずに前を見ながらこう言った。
「約束したんだから、来るのなんて当たり前じゃない?椎名じゃあるまいし」
グサッと少しだけ佐伯くんの言葉が私の胸のど真ん中に当たったけど、ごもっともすぎて、何も言い返せない。