佐伯くんを好きになった場合。
「まぁ、早く行くよ」
佐伯くんは、そう言ってまたスタスタと歩き出した。
男子の歩幅に合わせるなんて無理な話で、私は自然と佐伯くんとの距離が大きくなるばかりなんだけれど。
「さ、佐伯くん…もう少しゆっくり…」
「なに?早く行って早く帰りたいんだけど」
デ、デートじゃないんですか?
こんなに、急かすデートってあるんですか?
……まぁ、いいかな。
少しだけ、佐伯くんとの距離が寂しいけれど、今はそうするしかなくて。
とりあえず、佐伯くんに付いて学校を出た。