佐伯くんを好きになった場合。



泣き虫なところは変わってないように思えるけど。


ふと、昼休みにあったことを思い出すと、何故か無意識に頬が緩む。


考えないと。
ちゃんと、椎名のことを考えないきゃいけない。


今まで避けてきたけれど、昨日の放課後、椎名といたことで、やっと決心がついた。


素直な椎名だからこそ、これ以上勝手な俺の都合で困らせたくないし、なにしろ泣かせたくない。


普通に考えたら、困るとか、迷惑とかは、俺の方が思うんだと思うけれど。


でも、あの日俺がかけた言葉で椎名は勇気を出してきてくれたわけだから。


そんなことを無視することもいかない。


それに、


────泣かせたくないから。


< 211 / 320 >

この作品をシェア

pagetop