佐伯くんを好きになった場合。



「……」



言った。言ってしまった。たくさんの人がいる前で、告白というものを人生で初めてしてしまった。



それでも、目の前の黒髪くんは言った私よりも焦っていない様子で、それが逆に私を焦らせる。



「えと、何とか言って下さいっ!」



「手、離して」



黒髪くんはそう言って、目線を下に向けた。



「あぁっ!ごめんなさい!」



いつまで、黒髪くんの腕を掴んでいたんだっ!!



私は急いで腕を離して恐る恐る黒髪くんの顔を見た。


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