佐伯くんを好きになった場合。



「椎名はさ、」



佐伯くんが、私の名前を呼びながら、後ろを振り返る。
その時に、私と目が合ってどうしても体が硬直してしまう。



ドキドキ……久しぶりに、名前を呼ばれた。



久しぶりすぎて、ドキドキが戻ってきちゃって。



「俺、話しかけるなって言ったよね?」



「でも、話したいから」



「最初に無視したのはどっちだっけ?」



……それは、私だけど。


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