佐伯くんを好きになった場合。
私は、再び雨と向き合って、走り出そうとしたけれど、その瞬間、思ってもみないことが起きた。
「椎名」
「……っ、」
佐伯くんに名前を呼ばれた、それだけで心臓がドクンと脈打つ。
「は、い」
なんで、名前呼ぶの。
私、ずっと待ってたのに、何で今なの。
「傘、ないの」
「天気予報、雨じゃなかったもん」
「それ、明日でしょ」
えっ、嘘でしょ!!
私、明日の天気予報見てたの!?
「……傘、入ってく?」