佐伯くんを好きになった場合。
◇
────ザアーッ……
久しぶりに、ドキドキしている。
雨の音なんか聞こえないくらいに。
だって、隣に佐伯くんがいるんだ。
しかも、肩が触れ合うくらいの距離に。
でも、佐伯くんの方を見てみると、佐伯くんの肩が濡れていて。
やっぱり、いつでも私の方が無理させてるんだね。
「佐伯くん、私の家もう近いし…もう大丈夫だよ」
家が近いのは、嘘。
本当はもっと先。
でも、傘がなくても大丈夫だよ。