佐伯くんを好きになった場合。



「無理だよ、そんなの。嫌われてるよ、もう」



『だったら、なんで佐伯くんの家にいんのよ』



「そんなの、私が聞きたい……」



なんで、佐伯くんは私を連れてきたのか。


そんなの、知るわけないし。
分かるわけないじゃん。



『……嫌いじゃないから、連れてきたんでしょ』



「え?」



『嫌いだったら、家につれてこないし、傘も貸してあげようとしない。それに、むしろ嫌いだったらキスした理由で避けないよ』



「そうなの、かな」



舞那の言う通り、そうなのだろうか。



キスした理由で避けないって……。



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