佐伯くんを好きになった場合。



『私が、佐伯くんだったら、湖々の気持ちが分からなくて、佐伯くんのように湖々を避けてたかもしれない』



「あ……」



『もっと、素直になってみなよ。逃げないで、ぶつかりな』



舞那に言われて、やっと分かった気がする。



私は、ずっと逃げてた。



逃げてないつもりで、逃げてたんだ。



佐伯くんに「好き」だけ伝えて、返事は聞いたことがなかった。



それは、逃げてると同じことなんだ……。


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