Sweetie Sweetie Sweetie





翌日の土曜日。



学校は、休みだ。



だが、どうにも気になることがあって、俺は、朝一番で学校へ向かっている。





松田と塚本は、今頃、酔い潰れて寝ているだろうな、とか、まだ帰ってもいないかもしれないな、とか、





それから、





あの彼女は、今頃、何をしているだろう……





とか、





思いながら。







昨日の出来事は、鮮明に覚えている。



特に、あの彼女のことは、忘れようと思っても忘れられる気がしない。



印象的な目つきに驚いて足を止めたが、さらに驚くことに、彼女は……





俺のクラスの、俺の生徒の、





相川三葉、に、





そっくりだったからだ。







「まさか……相川じゃないよな……」







思うほど、そう、どうにも気になって、学校へ向かっている。







☆☆☆☆☆







学校に着くと、



俺は、略歴の載った名簿や成績表など、相川に関する情報を集めながら、相川三葉という生徒は、どんな生徒だったかと考えはじめる。





相川は、とてもおとなしい子だ。





だからといって、孤立しているわけではない。



特定の友達はいるようで、仲間内では、“ミィ”と呼ばれているのを聞いたことがある。



成績は、飛び抜けて良いわけではないが、悪くはない。



既に、指定校推薦で受験をして合格通知を貰い、進学先が決まっている。





学校生活や進路の面で、これといった問題はない。





家庭についても、子どもを大学へ進学させる余裕がある時点で、恵まれた環境であると判断できる。



実際に、新学期の保護者面談で話をした母親は、穏やかながらしっかりとした印象を受ける人だったし、父親は企業の役員だと聞いている。





満たされた暮らしをしているはずだ。





そうして、考えれば考えるほど、相川と夜の世界との接点は遠くなっていく。





それならそれで、あれは相川ではないと言い切ってしまえばいいのだろうが、そう言い切れない、心当たりが、ある。





相川は、夏休みが明けた頃から、授業中に居眠りをすることが増えた。



そして、合格が決まった後くらいから、遅刻が増えた。



今は、二学期も後半に近づく、十一月。



近頃では、欠席する日も増えている。





きっと、受験による疲れが出たのだろうと、さして気にも留めていなかったが、



あの彼女が相川かもしれないという疑いを持った途端、



その心当たりが、確信であるかのような気になって、





「……嘘だろ?」





何の問題もないと思っていた、そうして、そのまま、卒業していくものだと思っていた、相川の、思いもよらない闇に、





「どうなってんだ……」





目眩がした。





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