Sweetie Sweetie Sweetie
そうして、次の、金曜日の夜。
俺は、また、夜の街にいる。
あの日と、同じ時間、同じ場所にいれば、あの相川に会える、と思ったからだ。
そんなに上手くいくものか、とも思ったが、
すんなりと実現してしまう、夜の世界は、狭くて、簡単だ。
目の前には、繰り返す光景、
「相川!!」
俺は、あの日、見送った光景を、今日、捕まえる。
☆☆☆☆☆
「こんなとこで何してるの、先生」
そして、こちらも、また、簡単に、返事をするから、
調子が狂う。
「それ、俺の台詞!! おまえこそ、こんなとこで何してんだよ!!」
「何って……」
“おシゴト”
「……仕事? うちの学校、バイト禁止だぞ」
「知ってる」
「じゃあ、もっと慌てるとか言い訳するとかしろよ、担任に見つかってんだぞ」
「見つかっちゃったんだから、しかたないよ。慌てて言い訳して、何か変わるの? 何も変わらないよね」
「それは……」
一応、人違いだったら気まずいな、とか、本人だった場合、問い詰めて取り乱したりされたらどう宥めようか、とか、そんなことも考えていただけに、
こうも、あっさりと返されると、
本当に、調子が狂う。
「先生、ごめん、私、“おシゴト”見つけなきゃいけないから、もう行っていい? 説教とか処分なら学校で聞くから」
そして、
全てを受けとめているような、
全てを撥ねつけているような、
読めない、態度。
その目には、何も映らない、
あの日と同じ、虚。
そんな、相川に、
「待て!! 駄目だ!! 俺は今のおまえに会いにきたんだから!!」
そう言った、俺は、
変わらず、調子が狂っていたのか、
それとも、
今日、捕まえた、この瞬間を、手離してはいけない、と思ったのか、
さあ、どちらだろう……
☆☆☆☆☆