Sweetie Sweetie Sweetie
“おまえ……どうして、こんなことしてんだよ?”
何を思い、何を欲して、
このようなことをしているのか、
今、ここにいる相川、に、触れてみたい、
そう思った、その時、
相川の携帯電話が、震えだす。
「先生、ごめん、ちょっと待ってて」
震える携帯電話を取った相川は、短い会話をした後、俺に告げる。
「“おシゴト”見つかったから、行かなきゃ」
そして、また、ごめん、と。
「ごめんって言われても……」
答えは聞けずに、
相川との時間は、終わろうとしている。
「でも、ごめん、店に怒られちゃうから」
「店!? 店って、どういうことだよ!?」
「とにかく、ごめん、本当に、ごめんなさい」
さらに求めた答えも聞けないまま、
相川との時間が、終わっていく。
「……なぁ、相川、何の事情があるのか知らないけど、学校にはちゃんと来いよ。いくら合格が決まってるからって、卒業できなきゃ進学できないんだからな」
それでも、最後に、
伝えるべきことは伝えた時、
「わかってる、大丈夫」
そう言った相川の目に、
あの空っぽな目に、
やっと、俺が映ったような気がして、
少しだけ、安心した。
☆☆☆☆☆
また、一人の、帰り道。
夜の街は、今日も、ぼんやりと発光している。
「確かめて、何か解決できたわけじゃないんだよな。生徒が風俗嬢って……前代未聞だろ? 俺にとっても、多分、学校にとっても。こんなの、どうすりゃいいんだよ……」
そう呟いてみても、
返ってくるのは、また、
知らんぷりの喧騒、
だけだった……
2016.01.20 優臣
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