Sweetie Sweetie Sweetie





沈んでいく、水の底。



涙を注ぎこむ、水の底。



深い深い、水の底。







★★★★★







ドアが閉じる音がすると、





朝、だと思う。





閉じた目を開けると、





「ごめん、起こしちゃった?」





彼が、笑う。





「起きる時間だから、ちょうどいい」



「そっか」



「アフター行ってたの?」



「うん、でも、枕はしてないよ」



「本当?」



「本当だよ」







抱きしめられると、





まだ、残る、





お酒と、香水と、煙草と、





夜の匂いがする。







「ただいま」



「おかえり」







★★★★★







リンと出逢ったのは、



三年に上がる前の、春休み、三月の終わりの頃だった。



何となく、新しい鞄を買おうと、街をふらふらしていた時、声をかけられた。





「ねぇ、ホストクラブとか、興味ない?」





所謂、キャッチ。





「高校生でもいいの?」



「高校生か……残念」





それでも、連絡先を交換したのは、



何となく、甘そうな、ふわふわした雰囲気が、心地よかったから。





「十八歳になって、高校生じゃなくなったら、いつでもおいで。待ってるから」





そう言って、渡された名刺には、







“雪 凛十”







そう書いてあった。







「リン……」







★★★★★
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