Sweetie Sweetie Sweetie
四月。
新学年が始まって、少し経った頃、
一通のメールが届いた。
『おはよう』
先月、連絡先を交換したホスト、
リンからだった。
とりあえず、
『おはよう』
そう返して、
メールのやりとりが始まった。
それから、毎日、
送り合う内容は、とりとめのないことばかりだったけれど、
いつも誰かがそばにいてくれる、
そんな感覚に、
特別な居場所ができたみたいで、
嬉しかった。
携帯電話の画面の向こう、
どこかに、繋がっている、誰かがいる、
そう思うほど、会いたくなって、
『高校生は会いにいくこともできない?』
そう送ったのが、
五月。
★★★★★
高校生だということは、
『絶対に内緒だよ』
そう返事がきて、
リンのいる店に遊びにいくことになった。
夜の街も、ホストクラブも、初めてで、
緊張しすぎたのか、
断片的な記憶しか残っていないけれど、
“絶対に内緒だよ”
その言葉の通り、精一杯、大人のふりをして、
それなのに、
“お酒は飲んじゃダメ”
そう言うリンは、
キラキラの照明と跳ねる音の中で、怯むくらいの存在感で、
でも、笑うと、やっぱり、甘くてふわふわで、
ジンジャーエールの炭酸が弾けた時、
「ずっと会いたかった」
「俺も」
くらくらするほど、ドキドキした……
★★★★★
夢心地な時は、まだ、覚めない。
帰っても、続く、メールの、
その向こうに、
リンと、リンがいる世界がある、
そう思うと、
また、
会いたくなった。
★★★★★