ハメごろし
薄暗くしっとりした小屋の中には子供から大人まで、全裸で虚ろな目を虚に向け涎を垂らして檻の中をうろうろしていた。
「どれがいいですか」
私は一人の少年に釘付けになった。檻の隅っこで縮こまって震えていた。
「……私は……いらない」
「我慢しないでください。体は嘘はつけないですよ。ほら、汗がでてきてる。食いたくて仕方ないんでしょう? あの味が忘れられないはずだ。今度は少年を食いたくなってきたんでしょう? 僕に似てるから」
「ちっ! ちがう!」
「そんなに怒らないで。ヒトツえらんでもらわないと。高野さんに言われていることですから。あなたが選んでくれないと、あなたの中にいる高野さんに怒られてしまう」
「!!!」
全部だ。全部わかっているんだ。
「あれでいいんですね。今用意しますから、アユミさんはあの桜の木の下をスコップで掘って、そこにそのバッグの中に入っている高野さんの骨を撒いてください。その間にあれを仕上げて持っていきますから」
また私のことばを聞く前に檻の鍵を開け始めた。
突如、今までうろうろしていた人たちは蜘蛛の子散らすごとくサッと部屋の隅に散り頭を隠して丸くなり始めた。