ハメごろし

 古いアパートの一階、角部屋、駐車場の横、人通りは少なく暗い道にある物件は偶然にも見つけたものだった。

 次の日、不動産家へ行ってすぐに契約をした。

 なるべくなら田舎の方がいい。人目につかず防犯カメラも無い。夜遅い時間には寝てしまって誰も外に出ない。そんな場所を私は探していた。


 この部屋にはベッド以外の一切の家具を置かない。余計なものはないほうがいい。

 私の作戦通り、あの男をここへ呼び出しさえすれば、あとはもう何も怖がることはない。

 電動のこぎりもある。ペンチもあるし、針と糸もある。

 消毒液だってたっぷりとある。


 私は何度も何度も何度も頭の中で繰り返しイメージを思い起こし、シミュレートした。

 目の前にあいつがいて、私にのしかかる。


 そしていつものようにコトに至り、最後に私が上になる。


 その日が待ち遠しい。



 考えただけで、喉が鳴った。


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