めぐり逢えたのに
佐々倉は、その日、接待で上司と一緒にキャバクラに連れて行かれた。

もともと、佐々倉はそのような場所はそれほど好きではなく、付き合いで何度か行った事がある程度だった。
ボンボン育ちで、ファッションから身のこなしからスマートで垢抜けてる佐々倉は、女に困ることもなかったし、正直そこまでがっついて行く必要性も感じていなかった。

さすがに六本木という場所がらか、そこのキャバクラにはモデルと見まごう可愛い女の子が勢揃いしていた。

こんなに可愛くて、生活もさして困ってそうもないコたちが、キャバクラなんぞで働くのが、佐々倉には不思議だったが、最近はキャバ嬢は割と人気の職業と聞いて二度びっくりした。
親も公認のウチなんかもあるらしいが、自分が父親で娘と遭遇したらかなり気まずいんじゃないか、とか、佐々倉はつい想像してしまう。

何人かの女の子がついてくれて、賑やかに飲んでいたのだが、佐々倉の隣りに座ったあみちゃんが場違いなほどぎこちない。
一生懸命、水割りなど作ってくれるのだが、どう見ても場に溶け込めていなくて、佐々倉は気になった。



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