めぐり逢えたのに
「キャバクラで働いてた時は、結構もらってたんじゃないの?それに、お客さんにごちそうしてもらったりしてたでしょう?」

「あたし、あんまり稼げなかったし、お金はお母さんにほとんど送ってたから、こんなお洒落なところ、初めて……。
あ、でも、確かに、お客さんと、何回か焼き肉とかラーメンとかは食べにいったことはあるよ。屋台のおでんも食べたし。焼き肉も、あんなにたくさんお肉食べたのは初めてだったので、感激したな〜。
そのお客さんもあたしにすごく良くしてくれて……、あ、佐々倉さんに言うような話じゃなかったね、スミマセン。」

ぺろっと舌をだしてうふふと笑う。あみちゃんは、明るく屈託なく笑うが、その無邪気な笑いが、佐々倉の心に突き刺さる。

「そんなにお金が必要だったのに、何で急にやめちゃったの?」
「お母さん、死んじゃったから。」

佐々倉は、淡々と語るあみちゃんに衝撃を受けた。

「お母さんの病気で、なんやかんや、お金かかってたから働いてたんだ〜。でも、それももう必要なくなって。お葬式とか、そういうのもあったから、実家に戻ったの。あ、実家っていっても、家はないんだけどね、お母さんは入院してたから。」
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