めぐり逢えたのに
佐々倉だって、見えない格差、とか、子どもの貧困、とかそういう言葉がニュースをにぎわせているのは知っていたし、だから、実際にある出来事だと理解しているつもりだった。
しかし、それはやっぱり、佐々倉とは関係のない世界の話で、今、目の前にいる普通の服を来て可愛く笑うあみちゃんが、ただのパスタに感激して、「家がない」とこともなげに言ってみせることに、頭を後ろから打たれるような衝撃を感じていた。
「じゃあ、今はどこで寝泊まりしてるの?」
「地元の近くのネカフェ。大丈夫だよ。まだ、少しは貯金、残ってるから。もう少し落ち着いたら、仕事とアパート探すし。」
大丈夫なわけないだろ、と佐々倉は説教しそうになった。
ネカフェで寝泊まりするようなこの年頃の女の子が次に出来る仕事なんて決まっている。この娘を、今、ここで一人にするわけにはいかない。
佐々倉は義憤にかられていた。……少なくとも、佐々倉自身は、義憤だと思っていた。
しかし、それはやっぱり、佐々倉とは関係のない世界の話で、今、目の前にいる普通の服を来て可愛く笑うあみちゃんが、ただのパスタに感激して、「家がない」とこともなげに言ってみせることに、頭を後ろから打たれるような衝撃を感じていた。
「じゃあ、今はどこで寝泊まりしてるの?」
「地元の近くのネカフェ。大丈夫だよ。まだ、少しは貯金、残ってるから。もう少し落ち着いたら、仕事とアパート探すし。」
大丈夫なわけないだろ、と佐々倉は説教しそうになった。
ネカフェで寝泊まりするようなこの年頃の女の子が次に出来る仕事なんて決まっている。この娘を、今、ここで一人にするわけにはいかない。
佐々倉は義憤にかられていた。……少なくとも、佐々倉自身は、義憤だと思っていた。