めぐり逢えたのに
しおりは、一人で帰るから、と、佐々倉の申し出を固辞していたが、無理やりついて行った。
ネカフェに行く道々、佐々倉はしおりの身の上を聞き出していた。所沢のちょっと先まで行くので、時間はたっぷりあった。
「そんなに話すこともないんだけど……、小さい時にお父さんが死んじゃって、少し借金があったのね。大した額ではなかったんだけど、やっぱり女手一つで子どもを育てながら借金を返すのは大変だったみたいで、お母さん、無理しながら働いていたの。
水商売だけは、子どもがいるから絶対しない、って、言ってたのに、娘のあたしが、キャバ嬢だもんね、笑っちゃうでしょう。」
決して愉快な話ではないのに、しおりの口から語られると、あっけらかんと楽しい話に聞こえるのが不思議だった。
「それで、お母さんの無理がたたっちゃって、あたしが高一の時に、ついに倒れちゃって。仕方なく、あたしはバイトをして生活費と学費を稼いでいたんだけど、もう、全然足りなくて、結局学校もやめちゃって……、それが高二の時。
しばらく何とか頑張ってたんだけど、あたしが唯一、頼りにできる近所に住んでたお姉ちゃんが、あたしを六本木のキャバクラに呼んでくれたの。しおりちゃんは綺麗だから、頑張れば絶対売れっ子になれるよ、って。」
ネカフェに行く道々、佐々倉はしおりの身の上を聞き出していた。所沢のちょっと先まで行くので、時間はたっぷりあった。
「そんなに話すこともないんだけど……、小さい時にお父さんが死んじゃって、少し借金があったのね。大した額ではなかったんだけど、やっぱり女手一つで子どもを育てながら借金を返すのは大変だったみたいで、お母さん、無理しながら働いていたの。
水商売だけは、子どもがいるから絶対しない、って、言ってたのに、娘のあたしが、キャバ嬢だもんね、笑っちゃうでしょう。」
決して愉快な話ではないのに、しおりの口から語られると、あっけらかんと楽しい話に聞こえるのが不思議だった。
「それで、お母さんの無理がたたっちゃって、あたしが高一の時に、ついに倒れちゃって。仕方なく、あたしはバイトをして生活費と学費を稼いでいたんだけど、もう、全然足りなくて、結局学校もやめちゃって……、それが高二の時。
しばらく何とか頑張ってたんだけど、あたしが唯一、頼りにできる近所に住んでたお姉ちゃんが、あたしを六本木のキャバクラに呼んでくれたの。しおりちゃんは綺麗だから、頑張れば絶対売れっ子になれるよ、って。」