めぐり逢えたのに
一息ついていると、すっかり寝る用意をしたしおりがやってきて、佐々倉の前で服を脱ぎ始めたので、驚いて声を上げた。

「何やってるの?!」

「……あたしだって、そこまで子どもじゃないし、だって、これぐらいしかあたしの出来ること、ないもの。」

「………」

「こんなことぐらいじゃ、佐々倉さんは満足できないかもしれないけど。」

「……………」

しおりに同情しているのか、それとも彼女を好きなのか。
自分の気持ちはよく分からなかったけど、こんな風に彼女を抱く事はしたくない、ということだけは分かる。

佐々倉は、つつみこむようにしおりの体に手を回して、あごを彼女の頭にちょんと載せた。

「……いいから、こんなことしなくて。今晩はゆっくりお休み。」


こんな風に、しおりは佐々倉のもとに転がりこむことになった。



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