めぐり逢えたのに
佐々倉が向かった先は……、例の、場所であった。
会場の車寄せに車をつけて降りる私が無言になったのに気付いて、佐々倉が私にどうした?と耳元で囁いた。
「ううん、何でもない……」かすれた私の声が、佐々倉の耳に届いたかどうか定かではない。
入り口にある、どっしりした石の柱。そこから垂れ下がる絢爛豪華なシャンデリアの輝き。繊細な細工がほどこされた重厚な木のドア。何一つ前とは変わっていなかった。
そこは、紛れもなく私が初めて彼に会った場所であった。
中に入ってみると、八年前と同じ場所に受け付けがあった。突然、既視感に襲われて、私は急に心臓がばくばくしてきた。
「お名前ご記入頂けますか。」
綺麗に化粧をした女に記帳を差し出されて、私は我に返って、ペンを受け取った。
男じゃなくて良かった、と思いながら自分の名前を書いていると、背後からきゃあ、とかわあぁっという歓声が聞こえくる。思わず振り向いたとき、今度こそ本当に心臓が止まるかと思った。
大勢の人に囲まれて、小野寺拓也が、こちらに向かってきていた。
会場の車寄せに車をつけて降りる私が無言になったのに気付いて、佐々倉が私にどうした?と耳元で囁いた。
「ううん、何でもない……」かすれた私の声が、佐々倉の耳に届いたかどうか定かではない。
入り口にある、どっしりした石の柱。そこから垂れ下がる絢爛豪華なシャンデリアの輝き。繊細な細工がほどこされた重厚な木のドア。何一つ前とは変わっていなかった。
そこは、紛れもなく私が初めて彼に会った場所であった。
中に入ってみると、八年前と同じ場所に受け付けがあった。突然、既視感に襲われて、私は急に心臓がばくばくしてきた。
「お名前ご記入頂けますか。」
綺麗に化粧をした女に記帳を差し出されて、私は我に返って、ペンを受け取った。
男じゃなくて良かった、と思いながら自分の名前を書いていると、背後からきゃあ、とかわあぁっという歓声が聞こえくる。思わず振り向いたとき、今度こそ本当に心臓が止まるかと思った。
大勢の人に囲まれて、小野寺拓也が、こちらに向かってきていた。