めぐり逢えたのに

バッグの中のバイブレーションに気付いてケータイを出してみると、佐々倉から電話だった。

佐々倉も、思ったよりも人が多くて私を見つけられないらしく、電話で私を呼び寄せた。

佐々倉と落ち合って、私たちは挨拶に行くべく、佐々倉の父を探した。

上手い具合に佐々倉の父と亀山勇三氏は和やかに歓談していたところで、私たちが近づいて行くと、お義父様は上機嫌で私たちに声をかけた。

「直樹、万里花さん、こっちにいらっしゃい。」

隣りの勇三氏もにこにこと笑う。

「直樹くん、久しぶり。結婚式以来じゃないか？たまには遊びに来てくれよ。」

「ご無沙汰しております、亀山社長。私も結婚してからはバタバタしておりまして……、改めてご紹介します。妻の万里花です。」

「初めてお目にかかります。お忙しいところ、私たちの結婚式においで下さってありがとうございました。」