めぐり逢えたのに

「なんだかオバサンくさい挨拶だなあ、万里花ちゃん。若いんだから、もっときゃあきゃあ騒がないの？今をときめく小野寺拓也だよ。」

佐々倉の父がからかってきた。

「直樹さんの前でそんなはしたないことできません、お父様。」

私が茶目っ気たっぷりに返すと、一同は破顔一笑した。
私はこう見えても筋金入りのお嬢様だ、オヤジたちの扱いは心得ている。

「素敵な奥様で、佐々倉さんは幸せですね。」

彼も和やかな笑いを受けて話を継いだ。
新婚さんだからね〜、今が一番いいときだよな〜、などと言って笑い合う佐々倉の父と勇三氏の横で、私は彼をきっと睨みつけるような顔をしたと思う。

　ステキナオクサマデ、ササクラサンハシアワセデスネ。

確かに先に挑発的な言葉を発したのは私だったかもしれない。
しかし、返って来た言葉に、私は打ちのめされていた。私は、佐々倉が私の顔をずっと伺っていた事など全く気付かなかった。

次のゲストが亀山勇三氏に挨拶に来たのを潮に、佐々倉と私はその場を辞退して、食べ物をよそいに食べ物のテーブルに向かった。