めぐり逢えたのに
朝、目が覚めたとき、彼は私の髪をかきあげていてくれて、なんだかとても幸せな気分だった。
「起きた?」
彼が聞いてくる。健やかで晴れ晴れとした表情だった。
私は、こういう時の彼の笑顔にもめっぽう弱い。役者として成功してしまった今、この笑顔が私だけのものじゃないことが、私はちょっと不満だ。
「その顔ね、今じゃ、全国の人がいつでも見れるんだよねー。」
わざと、怒ったような低くてふてくされたような声を出した。
そしてテレビをつけるとちょうど彼の爽やかな笑顔がアップで写されたCMが流れてくる。
「ほら。」
「でも、朝から髪の毛をかきあげてもらえるのは万里花ちゃんだけだから、怒る必要はないでしょ。」
もっとやさしく髪をかきあげてくれて、おでこにそっとキスまでしてくれる。
「これはおまけ。」
「おまけが足りない。」
彼は今度は私のほっぺたにキスをした。
「甘さが足りない。」
今度は私の口のなかに舌を絡めてきた。キャラメルのように滑らかでコクのあるキスだ。上手なキスだった。
「起きた?」
彼が聞いてくる。健やかで晴れ晴れとした表情だった。
私は、こういう時の彼の笑顔にもめっぽう弱い。役者として成功してしまった今、この笑顔が私だけのものじゃないことが、私はちょっと不満だ。
「その顔ね、今じゃ、全国の人がいつでも見れるんだよねー。」
わざと、怒ったような低くてふてくされたような声を出した。
そしてテレビをつけるとちょうど彼の爽やかな笑顔がアップで写されたCMが流れてくる。
「ほら。」
「でも、朝から髪の毛をかきあげてもらえるのは万里花ちゃんだけだから、怒る必要はないでしょ。」
もっとやさしく髪をかきあげてくれて、おでこにそっとキスまでしてくれる。
「これはおまけ。」
「おまけが足りない。」
彼は今度は私のほっぺたにキスをした。
「甘さが足りない。」
今度は私の口のなかに舌を絡めてきた。キャラメルのように滑らかでコクのあるキスだ。上手なキスだった。