めぐり逢えたのに
佐々倉は考えた。

敵は手強い。どうすれば現状を打破できるのだろう。
何か、母につけいるような弱みはないだろうか?

佐々倉は、興信所に頼んで、両親の身辺を調べることにした。とにかく、何か付け入るスキがないか、知りたかった。あるいは、しおりに何をしたのか正確にしりたかった。

調べて行くうちに、両親が戸川の娘との結婚を画策していることがわかった。
どうも、しおりのことが発覚してから、特に急いでまとめているようだった。そして、驚いたことに、しおりが仕事ができないように仕向けていたのは、佐々倉の母だけではなく、戸川由起夫も一枚かんでいたようだった。

なんで戸川由起夫がそこまで熱心になる?

佐々倉は、当然、戸川由起夫と万里花のことも調べた。

それで、小野寺拓也の存在を知った。

戸川が強引に別れさせた後、そのことが娘にばれる前に、手頃な人と結婚させたいに違いなかった。
いろいろな男と引き合わせるも、一向にその気にならない娘に業を煮やして、佐々倉をあてがおうと考えたらしかった。

母の方も、相手が戸川万里花なら願ったり叶ったりだ。天涯孤独の元キャバ嬢なんかと籍を勝手に入れられたりしたら面倒なことになるに違いなかったから、さっさとまとめたかったのだろう。政治家は何よりもスキャンダルを恐れる。

両者の利害は一致した。

頭の痛い愚息と世間知らずの箱入り娘をまとめて片付けてしまえ……、恐らくはこんなところだろう。


知れば知るほど、行き詰まるのを感じた。



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